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[ 商品番号:31602027 / 取次本 ]
中世神道と神社の信仰体系
[著者・編者] |
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岡田 莊司 著 |
[出版社] |
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吉川弘文館 |
[初版] |
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令和6年11月29日 |
販売価格:
円
(本体価格 10,000円+税)
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〔定価: 11,000 円〕
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中世神道思想の形成と展開、諸国一宮と鎌倉幕府の祭祀体制の確立から吉田神道への道程を追究。現代神道に至る基本体系を描き出す。
12世紀後半の混沌とした世相のなか、両部神道から伊勢神道への転換期にあたる中世の神道と神社の信仰の実態を考察。文献考証により、神道思想の形成と展開、諸国一宮と鎌倉幕府の神社祭祀体制の確立から、近世に至る吉田神道への道程を追究。中世びとの心意に籠る「神=人=心」の信心を描き出し、現代神道に至る基本体系を浮き彫りにする。
目次 序章 総説・神仏関係と中世神道 一 本書の研究方法 二 神祇からみた神仏習合・神仏関係 三 神と仏、神職と僧侶との相異 四 都市の祭礼、御旅所祭祀と神々の勧請 五 中世神道典籍の形成と高僧たち 六 藤原摂関家の三社信仰と東大寺東南院発祥の「三社託宣」 七 可視化される神々―神降し祭式の系譜 八 折口信夫の「中世神道史」研究へ 九 本書序章から終章に向けて
第一部 中世神道の形成―両部神道から伊勢神道へ― 第一章 『中臣祓訓解』 および 『記解』 諸本の伝来 はじめに―中世神道の発生源 一 『訓解』 『記解』の諸本 二 『記解』の追記について 三 『訓解』 『記解』の成立と伝来 おわりに 第二章 中世初期神道思想の形成―『中臣祓訓解』『記解』を中心に― はじめに 一 魔王伝説と仏家側の神道理解 二 『訓解』『記解』の中臣祓註釈 おわりに 第三章 両部神道の成立期 はじめに 一 両部神道とは何か 二 伊勢神道との関係―『漢朝祓起在三月三目上巳』 三 『中臣祓訓解』と『宝志和尚伝』 四 園城寺との関係 五 奥伊勢の吉津仙宮院と『三角柏伝記』 おわりに 第四章 私祈Sの成立―伊勢流祓の形成過程― はじめに 一 神祇祓から陰陽祓・ 仏家祓 二 伊勢権禰宜層と私祈S 三 伊勢流祓の形成 おわりに 第五章 はじめに 一 『神祇講式』の諸本 二 『神祇講式』 撰作者の検討 おわりに 追記―『神祇講式』貞慶撰作説のその後
第二部 中世神道の展開―伊勢神道から吉田神道へ― 第一章 伊勢神道書成立史考―「神道五部書」「神蔵十二巻秘書」― はじめに 一 伊勢神道書研究史 二 『伊勢宝基本記』の成立 三 成立年代とその背景 四 「神蔵十二巻秘書」 五 『倭姫命世記』と「神宮三部書」 第二章 真福寺本『伊勢二所皇御大神御鎮座伝記』(「大田命訓伝」)の伝来 はじめに 一 語りかける軸木墨書「行忠之」 二 本書の成立時期 三 在京期の行忠と京都朝廷 四 月読宮顛倒事件と摂関鷹司家 おわりに 第三章 卜部氏の典籍研究とその伝来 はじめに 一 日本紀の家・ 前史 二 平野卜部兼文・兼方の家学へ の研鑽 三 真福寺本『古事記』祖本の伝来 四 平野流から吉田流卜部氏へ 五 卜部兼熈の諸本校合 六 一条家と秘説の伝授 七 吉田兼倶の秘伝伝授 第四章 吉田兼倶と吉田神道・斎場所〈再考〉 はじめに 一 吉田神道成立以前 二 「宗源神道誓紙」と秘伝伝授 三 斎場所の創設と文明五年の斎場所 四 文明十六年、斎場所の遷座 おわりに―偽作と秘事の真意 第五章 近世神道の序幕―吉田家の霊社創建と葬祭の成立― はじめに 一 吉田家当主の葬礼―兼倶以前 二 吉田家当主の葬礼―兼倶以後 三 近世初期の霊社創建 四 吉田流葬祭の淵源 五 吉田流葬祭の成立 おわりに
第三部 中世の神社と祭祀 第一章 中世における神社秩序の形成 はじめに 一 二十二社奉幣制 二 諸国一宮制 三 鎌倉殿と東国神祇体制 おわりに 第二章 国司の祭祀と諸国一宮制 はじめに 一 神宝奉献の儀礼 二 国司(国守)祭祀と臨時祭 三 東遊の奉納 四 在庁・ 国人の祭祀振興 五 国衙と祭祀職・ 社家 おわりに 第三章 鎌倉幕府・鎌倉殿の将軍祭祀 はじめに 一 東国鎌倉と頼朝の信仰 二 鶴岡八幡宮 三 伊勢大神宮 四 二所三島詣 五 東国一宮と惣社・諸社 おわりに
終章 中世神道における「神=人=心」の系譜―奥伊勢から奥三河へ― はじめに 一 奥伊勢〈両部神道の発生源〉から伊勢神道へ 二 兼倶の吉田神道とその神観 三 吉田の人霊祭祀・葬祭と祭式 四 奥三河神楽の舞庭にて おわりに・ 総括―中世神道研究の現在 付論 天皇祭祀の近代―古代祭祀・ 中世神道から近代へ ― はじめに 一 古代祭祀体系と近代 二 神社行幸と伊勢行幸 三 「天神地祇御誓祭」の創設 四 〈 外廷 〉神祇官から〈 内廷 〉宮中祭祀へ 五 近代官社制の編成 おわりに―宮中神殿祭祀百五十年
令和7年03月03日付 6面
中世といふ激動の只中 神職による営みを考察
言はずと知れた神道史学・古代祭祀学の第一人者である國學院大學名誉教授・岡田莊司博士による待望の中世神道・神社論である。
この中でとくに我々神職の心を捉へるのは、古代以来、神社祭祀の担ひ手たる神職はその地域の生活者であることが基本であったこと、そして、中世神道とは中世といふ激動の時代の只中にあって神信仰を奉じる神職が懸命に対処した営みの結晶であるといふことである。日本の社会が歴史的な曲がり角を迎へつつある中、あへて本書を神職諸兄に推奨する所以である。
(宮城・金蛇水神社名誉宮司、東北福祉大学名誉教授 高橋美由紀(高ははしご高))
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